表彰規程
表彰規程
表彰規程のテキスト
表 彰 規 程
第1章 総則
(目 的)
第1条 この規程は、社員の功労に報いるため、就業規則第○条の定める表彰に関して細則を定めたものである。
(適用範囲)
第2条 この規程は、第5条の対象期間に在籍する全ての社員に適用する。
(表彰委員会)
第3条 会社は、公平公正な表彰を実施するため、表彰委員会を設置して審査する。
2. 表彰委員会は、会社の任命する委員5名により構成する。ただし、委員のうち2名は労働組合が推薦した者の中から任命するものとし、委員長は人事担当役員が就任する。
(表彰の種類)
第4条 表彰の区分および種類は、次のとおりとする。
① 一般表彰
② 善行表彰
③ 業務表彰
(対象期間)
第5条 この規程による表彰の対象期間は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間とする。
第2章 表彰基準
(一般表彰)
第6条 一般表彰の種類および審査基準は、次のとおりとする。
① 年間皆勤賞
対象期間の1年間を無遅刻無欠勤であった者。なお、年次有給休暇、産前産後休暇、育児・介護休業等の法定の休暇を取得した日については通常の出勤とみなす。ただし、全対象期間に実勤務日のない者を除く。
② 永年勤続賞
対象期間中において、満5年、10年、20年、30年の勤続年数を迎えた者。ただし、就業規則第○条の休職の期間は、勤続年数から除外する。
(善行表彰)
第7条 善行表彰の審査基準は、次のとおりとする。
① 犯罪、災害等を未然に防ぎ、または非常の際に功労があったこと
② 会社の名誉を高める社会的善行があり他の社員の見本となったこと
③ その他前各号に準ずる程度の善行があったこと
(業務表彰)
第8条 業務表彰の審査基準は、次のとおりとする。
① 業務上有益な発明、改良、工夫または考案があったこと
② 販売、サービス、商品の選定などに顕著な功績があり、売上を著しく向上させたこと
③ 作業の大幅な合理化により生産性を著しく向上させたこと
④ 諸経費の著しい削減に貢献したこと
⑤ 安全衛生の分野で著しい貢献があったこと
⑥ 事務処理の電子化などにより効率化を図ったこと
⑦ その他前各号に準ずる程度の功績があったこと
(表彰の単位)
第9条 表彰は、個人または2名以上のグループを単位として実施する。
(表彰の除外)
第10条 表彰の候補者について、勤務成績が一般に比べ特に劣ると認められるとき、あるいは、表彰の功績を打ち消すほどの悪行があったときは、表彰から除外する。
第3章 審査・表彰の方法
(候補者の推薦)
第11条 各表彰の候補者の選出は、各部門長が対象期間終了後2週間以内(「推薦期間」という)に決定し、推薦理由等を記載した所定の様式により総務部を経由し表彰委員会へ提出する。ただし、一般表彰については総務部で該当者を選定する。
2. 各部門長の推薦は、それぞれ担当部門の中から表彰の種類ごとに2名(グループの場合1組を1名とみなす)以内とする。
(審 査)
第12条 表彰委員会の委員長は、推薦期間終了後2週間以内に表彰委員会を招集し、各候補者について審査し、受賞者および表彰の方法を決定する。
(表彰方法)
第13条 各種表彰は、賞状と記念品または賞金を授与して行うものとし、記念品および賞金の額等の基準は表彰委員会の審議により別途定める。
(承 認)
第14条 表彰委員会の審査を受けた候補者および表彰内容については、取締役会の承認をもって最終的に決定する。
(特別表彰)
第15条 特に重要な、特許、新商品の開発、または社会的善行などに貢献した者には、第7条または第8条に替えて、特別表彰を実施する。
2. 特別表彰の候補者は、取締役の推薦により、随時、表彰委員会を開催して決定の上表彰する。
3. 特別表彰の受賞者には、賞状の他、表彰委員会で決定する記念品および賞金を授与する。なお、別に定める「職務上発明報奨規程」に該当するときは、この賞金と併給する。
(表彰の特例)
第16条 受賞者が、表彰の実施前に定年以外の理由により退職し、または解雇された場合は、表彰を取り消す。
2. 受賞者が、表彰の実施前に死亡した場合は、その遺族を代表する者に対し賞状等を授与する。
(表彰および公表)
第17条 表彰は、毎年、創立記念日において社長名により行う。なお、受賞者の氏名は式典、社内報、社内掲示などにより公表する。
付則
1. この規程は、平成○年○月○日から実施する。
趣 旨
「叱るより褒めろ」とはよくいわれる言葉ですが、表彰は、優秀な社員を賞賛することで労働意欲を高めるとともに、他の社員の模範とし、勤勉で、善良な社風を形成するために重要な施策です。
新たに表彰制度を導入する場合は、他の会社がやっているから…ということではなく、自社の業種による個性を活かし、社員に何を守って、どんな努力をすれば、どんな結果がもたらされるのかを示し、効果的に事業目標が達成されるような内容を検討して下さい。
表彰に関する規定は、労働基準法では、就業規則の相対的必要記載事項となっているため、会社が「定めをする場合においては、その種類と程度」を就業規則に記載する必要があります。
なお、表彰についての規定内容は、制裁と異なり、ほとんど法令の制約を受けませんので、どのようなことを表彰の対象にするのか、どのように表彰するのかはほとんど自由です。それ故に、永年勤続表彰のように誰でも受けるチャンスがあり、基準も明確なものはよいのですが、何らかの評価の結果表彰する…といった場合には、選考機関(賞罰委員会など)を設けるなどして、その評価の選考基準を明確にし、社員の誰もが納得できる公平な手続きがなされることが大変重要になってきます。
また、これまでの日本の組織では「出る杭は打たれる」ごとく、突出した功績があっても、その者にだけ特別な対応をすることは好まれない傾向がありました。しかし、青色発光ダイオードの特許をめぐる訴訟問題から、多くの会社で技術開発者に対する報奨金の見直しが進められ、あるいはノーベル賞受賞者を出した島津製作所のように、報奨金以外での昇格、賞金なども必要だということが明らかになってきました。
このように、情報化社会の進展により個人の功績が会社に莫大な利益をもたらすことも珍しいことではなくなり、身近な問題として検討しておく必要が出てきたといえるでしょう。
表彰規程を検討するにあたっては、通常業務としての労働の対価である賃金、特許など将来にまで利益をもたらすものへの対価としての報奨金、そして一定の名誉を称える表彰制度の違いを理解しておく必要があります。
ポイント
1.適用範囲
表彰規程に関しては、社員全体を対象とするものが一般的ですが、除外する者がある場合は明示します。 ⇒ モデル規程 第2条
ここを検討!
・パートタイマー、契約社員などは適用範囲に含みますか。
2.表彰委員会
公平を図るためにも、表彰委員会や賞罰委員会などの委員会を設けて、審査を行うのが一般的です。この委員会の組織、運営について更に別規程を設け、細部にわたり決めておくことも一方法です。 ⇒ モデル規程 第3条
ここを検討!
・表彰の手続きはどのようにしますか。委員会の設置等を行いますか。
3.表彰の種類
一般的な表彰の種類としては、皆勤、永年勤続、善行などがあります。
⇒ モデル規程 第4条
4.一般表彰
永年勤続の年数は、各会社の実態に即して決めるとよいでしょう。3年、5年、7年、10年とする会社が多く見られます。
また、年間(年数)の算定の基準を、暦年(1月~12月)とするか、年度(4月~翌3月)とするかも決めておきます。 ⇒ モデル規程 第6条
5.業務表彰
内容としては、成績、努力、企画、改良に関することが一般的ですが、会社の個性が出せるところです。
商業関係の会社では、売上、販売額の増加につながるもの、製造関係の会社では安全、研究開発、企画といった業績につながるものが多くみられます。それぞれ、会社の根幹をなす大事な部門での表彰は大変効果的です。また、勤務態度が真面目なこと、事務処理能力に優れていること、安全運転で事故を起こさないことなど、会社が大事にしたいこと、守ってもらいたいことなどを幅広く取り入れ、個性的な表彰を考えてもよいでしょう。
⇒ モデル規程 第8条
優良運転者を表彰する場合の規定(例)
(優良運転者賞)
第○条 配送業務に従事する運転者が、継続して無事故無違反であり、かつ車両管理が適切であると認められる場合、次の基準により表彰するとともに、運転手当を増額支給する。
継続期間 表彰基準 運転手当
3年以上 初級 5,000円増し
6年以上 中級 7,000円増し
9年以上 上級 10,000円増し
ここを検討!
・どのような表彰を設けますか。
・それぞれの表彰内容、基準等は、検討しましたか。
6.候補者の推薦
表彰は、一定の審査基準を満たす者に実施されますが、数値で基準がある場合は自動的に対象とし、数値での基準設定がない場合は上長推薦などの方法を取ることになります。
上司、所属長からの推薦、その推薦の根拠となる基準、条件を決めておく必要があります。
また、業務表彰は、1年ごとに行うのか、それとも半期ごと、4半期ごとに行うのかなど、期間の区切りを決めておきます。 ⇒ モデル規程 第11条
7.表彰および公表
定期的な表彰の場合、1年の中の一定期間を定めて行うようにします。一般的には、会社の創立記念日などが多く見受けられます。 ⇒ モデル規程 第17条
ここを検討!
・表彰の受賞者をどのように公表しますか。
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